リスクのない 空き家 の対策を始めよう。
高齢化社会の中で、団塊世代の相続が進み、空き家が急速に増加していることです。また、相続者たちが空き家の管理や活用について問題を抱えていることが社会全体の問題になってきています。
2018年時点の国内の空き家数は349万戸ありますが、2030年頃には空き家数470万戸に増加する見込みです。今でもニュースなどで取り上げられていますが、空家になってからの対応には限界があります。
空き家 とは?
そもそも空き家とは何なのかを簡単にご説明します。
空き家は、1年以上住んでいない、または使われていない家を「 空き家 」と言います。
人が出入りしているかどうか、電気やガス、水道が使われているのかそれらが使える状態なのか、住民票の内容や登記記録など所有者の利用状況がどうなっているかが判断基準になります。
空き家 をほったらかしたらどうなるの?
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために 放置することが不適切である状態
空き家をほったらかしにして上記のいずれかの条件に該当すると「特定空家等」に認定される場合があり、指導を受けたにもかかわらず改善されない場合国から勧告を受けることがあります。
空き家 を放置するデメリット
では、空き家をほったらかしにしたときに所有者が負うリスクを紹介します。
近隣住民との関係の悪化
- 雑草が伸びて景観の悪化
- 不衛生な状態による悪臭
- 老朽化による家屋の倒壊
- 不法侵入などの治安の悪化
- ゴミの不法投棄
空き家を放置すると上記のように周辺地域に悪い影響を与えます。悪臭が漂うことや倒壊の危険性など近隣住民とトラブルになる原因なります。
維持管理の負担がある
空き家を放置すると近隣住民との関係悪化につながりますが、空き家をボロボロにしない為には修繕費をかけることや草刈り、掃除など資金や労力が必要になります。
資産価値が下がる
空き家の管理が不十分になると劣化が始まり、築年数が長い老朽化が進んだ空き家であれば中古住宅としての価値がもともと築古で低かったのに更に下がります。
特に市街地の空き家は、立地条件や交通のアクセスなども影響し、売却や賃貸に出すことも難しくなるケースが大いにあります。
特定 空家 による罰則
空き家を放置し、「特定空家等」に認定され場合に自治体から適切な管理・修繕を行うよう助言や指導の勧告や命令をされます。
この自治体の指示に従わず空き家を放置し続けた場合、下記の罰則が行われます。
- 最大50万円以下の過料の発生
その後も改善されなければ行政代執行により空き家を強制で取り壊されます。樹木の伐採やゴミの撤去、家屋の解体などが行政により行われ、かかった費用は所有者が負担することになります。
特定 空家 は税金の負担が高くなる
特定空家等は、非住宅用地に認定の為「課税対象」となります。住宅用地としての固定資産税軽減措置が適応されません。
ですので、所有者は特定空家認定前と比べ固定資産税を約4倍も負担しなければならないのです。
また、都市計画税でも課税対象となる為都市計画税では約2倍の負担があります。
※通常、居住を目的とした家屋にはこの住宅用地の特例が適用され、200㎡以下の住宅(小規模住宅用地)の場合、住宅用地の特例で固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に軽減されたものを支払います。
実際は固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍の計算になります。しかし、税額負担の急上昇を緩やかにするために評価額の70%を課税標準額として計算されます。
ゆるやかな税額負担といえど、負担額が多くなった空き家を所有し続けることは所有者にとってかなりのリスクになります。
固定資産税及び都市計画税の軽減措置
- 固定資産税
小規模住宅用地(200㎡以下):1/6に減額
一般住宅用地(200㎡超) :1/3に減額 - 都市計画税
小規模住宅用地(200㎡以下):1/3に減額
一般住宅用地(200㎡超) :2/3に減額
空き家 の法律が変わったって知ってた?
2023年(令和5年)に空き家の法律が変わり、「活用拡大・管理の確保・特定空家の除去等」の3本柱で対応を強化されます。どんなことが所有者に影響するのかご説明します。
国土交通省『空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について』参照
市区町村から空き家活用の要請がある
空き家の用途変更や建替えを促進することを法律で強化されたので、市町村が活用指針を明示し、指針に合った空き家活用を市区町村から所有者や活用希望者に普及啓発、情報提供があります。
管理不全でも税金が上がる対象に
今までは、特定空家の指定を受けた空き家のみが固定資産税軽減措置の対象ではありませんでしたが、管理不全空家(放置すればいずれ特定空家になるおそれが高い家)も対象になります。
勧告されると固定資産税の住宅用地特例(1/6などに減額)は解除され、特定空家でなくても高い税金を負担しなければならなくなるので空き家を放置する金銭的リスクがより一層高くなります。
緊急時の対応が変わる
まず、緊急代執行制度が創設されました。これにより勧告、命令による待期期間をなくなり、すぐに代執行が行われます。
これにより所有者は、市区町村から代執行分の請求がされます。
※代執行・・・空き家の状態が著しく悪化しているにも関わらず、所有者が管理の義務をまっとうしない場合、所有者に代わって行政が空き家を解体・撤去すること
代執行費用は判決なしで徴収される
所有者不明時は、確定判決となってから財産差押えの流れだったのですが、通常代執行と同じく確定判決なしで徴収に改正されました。
その他の支援措置
フラット35の活用
空き家の取得や改修を対象にした住宅ローンの金利引き下げ期間の延長
- ▲0.25%(当初5年間)→(当初10年間)
3000万円の特別控除
相続人が、相続した空き家を一定要件を満たして譲渡した場合譲渡所得から3000万円を特別控除できます。
空き家 の対策を始める前に
所有者や相続する方が 空き家 対策 をするにはどのような点を注意するべきかというと、このコラムでもずっとご説明していた「 特定空家 や 管理不全空家 」に該当しないことが重要になります。
そのためにはまず所有する空家が「 特定空家 」などに該当しないかをチェックする必要があります。
セルフチェックする
国土交通省が配信しているリーフレットを参考に所有している 空き家 が特定空家にならないようにチェックしてみてください。
外観のチェックポイント
- 建物全体が傾ていいないか、屋根が全体的に変形していないか
- 外壁がはがれて破損してないか
- 誰か入れるような割れた窓がないか
- 瓦などの屋根材がはがれたり、割れたりしていないか
- 軒天が破損していないか
屋内のチェックポイント
- 柱や梁が腐ったり、破損していないか
- 雨漏り跡がないか、また雨漏りしていないか
- アスベストが露出していないか
- 浄化槽の破損がないか
- トイレなどの水がなくなり悪臭がしたりや不衛生な状態になっていたりしていないか
敷地内のチェックポイント
- ゴミが散乱して景観を悪くしていないか
- 散乱したゴミが腐敗して悪臭や不衛生な状態になっていないか
- 門や塀などに傾きや破損はしていないか
- 擁壁にひび割れがないか
- 木が腐ったり、折れたりしていないか
- 枝が敷地からはみ出して通行の障害になっていないか
- 動物が棲みつき、不衛生な状態や悪臭、騒音が生じていないか
- 棲みついた動物が近隣の敷地に侵入していないか
空き家 対策を始める
特定空家に当てはまらないかどうかをチェックが終われば、自分が特定空家の対象になるのかが分かると思いますが、対象・非対象に関わらず今後特定空家や管理不全空家にならないようにしていかないといけません。
ここからはどんな 空家対策 ができるのかをご紹介していきます。
親と話し合い方針を決めておく
空き家の発生原因は、半数以上が相続によるものです。
親、親族が元気なうちに話し合い、相続後に「誰が住むのか」「売るのか貸すのか」「解体するのか」など関係者で事前に話し合っておくことが大切です。
自分で管理する
空き家を手放さない方は、特定空家の認定を受けない為に自分で管理していくという方法があります。
家が朽ちていかないように家の通気や換気、排水設備の通水などを行うなどして、衛生状態を清潔に保ち腐朽や悪臭に備えることは所有者自身でも簡単にできる管理方法だと思います。
冬に備えること
冬には給水管の破損を防ぐために元栓の閉栓をしたり、家屋の倒壊を防ぐために雪下ろしをするなどが必要になります。
擁壁がある家では
擁壁がある家(高さが2m以上)では、水抜き穴の清掃も欠かせない空き家管理のポイントです。
水抜きができない状態にあると、擁壁が倒壊をするおそれがあります。
腐朽部分は補修する
柱や梁、外壁、門、塀などが腐朽や破損している場合は補修工事や防腐処理を行い、家屋の倒壊を防ぎましょう。
DIYで補修する人もいますが、安心感もあり専門業者に依頼することがおすすめです。
敷地の管理について
庭や植木など草刈りしたり木の剪定を行います。
所有者がご自分で行うこともあれば、シルバー人材センターや業者に依頼をして管理することもできます。
更地にする
通気や草刈り、補修工事など空き家を管理し続けるのは「時間・コスト・労力」ととても苦労します。
費用は掛かりますが、解体を行い更地にしておくことで空き家管理の労力を削減できるほか将来子どもが
その土地を利用して新しい建物を建てることもできます。
その他の 空き家 対策
空き家をほったらかしにしない為にも家族での話し合いが大切です。
自分たちで空き家を管理しきれない場合には以下のような方法で空き家を放置しないようにしてみてください。
空き家を「終う(しまう)」
通気や草刈り、補修工事など空き家を管理し続けるのは「時間・コスト・労力」ととても苦労します。
費用は掛かりますが、解体を行い更地にすると広場や駐車場として利活用すれば空き家管理の労力を削減でき、新しい建物を建てるなど将来に備えることができます。
空き家を「活かす」
空き家を改修して売買や賃貸として住宅を活用したり、用途を変えてカフェや観光施設などコミュニティスペースに用途を変更するなどができます。
空き家を活かすということは、令和5年の改正法案にもありました「活用拡大」にもつながるので市区町村の窓口に相談したり、不動産・相続などの専門家にご相談ください。
弊社でも不動産の取り扱いをしておりますので、空き家や土地の活用にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
空き家 対策-まとめ-
今回は、 空き家 をほっておくとどうなるのかという疑問から 空き家対策 についてご紹介しました。
- 親が元気なうちに方針を決めておく
- 空き家を自分で管理する
- 空き家を終う
- 空き家を活かす
空き家として置いておくのは問題ないですが、ボロボロな状態になった空家を放置しておくと「特定空家・管理不全空家」に認定されてしまい、税金の減税措置がなくなり高い税金を支払うことになったり緊急代執行が執り行われると高い解体・撤去費用を支払わなければならなかったりします。
また、市区町村から所有者に適切に管理するように「助言・指導→勧告・命令」が入ります。所有者が命令に従わない場合には50万円以下の過料に処される場合があるので、所有者はしっかりと空き家の管理・対策を行う必要があります。
空き家のリスクから自分や家族、地域に苦労と損がない空き家対策を行っていきましょう。