丈夫な家は 柱 が違う
近年の家の柱は、石膏ボードやクロスなどで覆われてしまうことがほとんどなので、目に見えない部分で気にしないという方が多いと思います。
しかし、柱は梁などの横架材からの重みや圧力を基礎などに伝え倒壊を防ぎ、地震による横揺れや台風などの壁面にかかる風圧に対抗する役割を担っています。
意外に気にしていなかった柱って実は家が建つうえですごく重要なもののひとつなんです。
柱 とは?
柱 とは、まっすぐに立てて建物の上部の重みを支える家を建てる為の材料のことです。
住宅は、調湿効果があり湿度の高い日本に適している木造で建てることが多いですが、他にも耐久性と耐震性が高い鉄骨造などがあります。
注文住宅などの新築で使われる 柱 は、「通し柱」と「管柱」と「間柱」の3種類があります。
通し 柱
通し柱(とうしばしら)は、土台から軒までを継ぎ目がない1本の柱のことを言います。
建築基準法では、「階数が二以上の建築物におけるすみ柱又はこれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。」と表記されています。(参照元:建築基準法施行令第四十三条5)
2階以上の住宅に対して、構造上大きな力がかかる4隅にそれに耐える力を持った「通し柱」が必要とされるということです。
管 柱
管柱(くだばしら)は、通し柱と違い土台から軒までの1本の柱ではなく、途中の胴差し(どうざし)や桁、梁を支える柱のことです。
間 柱
間柱(まばしら)は、柱と柱の間にある小柱のことです。
柱は、10cm、12cmの幅のものを使いますが、間柱は3cm、4.5cmの幅のものを使います。
使う用途としても、通し柱や管柱のように構造上大きな力がかかる部分に必要というわけではなく部屋の内側に取付ける石膏ボードなどの壁を支えるための柱です。
柱 の種類
家の柱によく使われる木の種類(樹種)について紹介します。
檜
ヒノキは、耐久性がありシロアリ被害が少ない樹種です。関西など西日本ではヒノキが柱として使われることが多いようです。
杉
杉は、腐りに強く強度もあります。日本の固有種で日本全土に植林されるとてもポピュラーな樹種です。
ホワイトウッド
ホワイトウッドは、杉と同等の強度を持ちコスト面では安価ですが、結露や雨漏りでの被害の進行度合いが早いので耐久性が他の木材に比べて劣ります。
地震に強い 柱 はあるの?
圧縮への強さや曲がりの強さなど樹種により木材の強さは変わりますが、樹種が原因で構造の欠陥があるということはほぼありえません。
ですので、地震に強い柱はなく、ハウスメーカーや工務店がしっかりと樹種の特徴を理解し、構造計算を行っているかが大切になります。
柱 が重要なのは耐久性
地震などの耐震性についての強度は柱自体に関係してきませんが、木材が長持ちであるかという耐久性の面では話が違ってきます。
柱は、「木を腐らせない」耐久性があるかどうかが重要になってきます。
今回紹介した柱の種類から言うと、ヒノキと杉は耐久性では優れていると言えます。
柱 を腐らせる菌がある
木材である柱を腐らせる菌を「木材腐朽菌」といいます。
実は、キノコの多くも木材腐朽菌の一種で枯れ木や生木に生え、木材の養分を吸収することで腐らせながら成長します。
木材腐朽菌を予防する
木材腐朽菌を予防する方法として人工乾燥させた「KD材」を使用するといいです。
木材腐朽菌は、温度は30℃前後、湿度が85%以上、木材の中の水分が20%以上の環境を好みます。
しかし、KD材は含水率(木材の中の水)が25%~15%以下までと定められている為、木材腐朽菌による被害は発生しないといわれています。
もしKD材が雨などで濡れたとしても未乾燥材(グリーン材)と違い、数日あればその水分は放出されます。
もちろん雨などに濡れないことほどいいですが、多少の雨であれば棟上げもできるので、KD材は梅雨や湿気の多い日本の風土に合った柱だと思います。
参考コラム
「乾燥材の強さとメリット/戸田正彦」
「教えて!柱には、どんな木(樹種)を使ったらいいの?~家の構造編~/アトリエプラス」
「木造住宅の柱の種類と選び方/一級建築士事務所 今村設計」
シークは 「ヒノキ」を使ってます
シーク建設は、新築注文住宅を建てる時にこんな柱を使います。
- 樹種:檜(ヒノキ)
- KD材
- 12cm角(家の外周部分)
ヒノキについて
日本国内の森林面積の約4割を人工林が占めています。
その中で杉に次いで25%の人工林として「ヒノキ」の面積があります。
特にヒノキは、日本書紀にも記述があるほど古代から親しまれている木であり日本の風土に合った樹種です。
ヒノキの特徴
ここではヒノキが日本の風土に合っているという点をひとつずつご紹介します。
防蟻性が高い
ヒノキは、シロアリ被害が少ない樹種としても有名です。防蟻の性能だけをいうと米ヒバと同等であり杉よりも高い一面があります。
新築は、防蟻処理を行いシロアリに対する耐久性を高めます。弊社では10年間防蟻効果を保証していますが、一般的には5年程度です。
元々シロアリに対する耐久性が高いヒノキを柱や土台に使うメリットが十分あります。
耐朽性・耐水性がある
ヒノキは、檜風呂としても有名ですが、ヒノキチオールを含んでいるので耐水性が高いです。
耐水性が高いため腐りにくいのも特徴です。日本農林規格(JAS)による樹種の樹種の耐朽性区分で、ヒノキは杉よりもさらに耐朽性があると言われます。
注意点としては、防蟻性、耐水・耐朽性ともに「芯材」という丸太の内側であることが重要です。
参考コラム
「スギ・ヒノキ林に関するデータ/林野庁」
「どんな木材がいいの?/株式会社山長商店」
柱 の太さにこだわる
家の柱の長さは、約3mほどあります。
3mほどの柱になると座屈という現象を起こし、柱に長手方向の力がかかってもまっすぐ力がかからず弓のように反りながら壊れる現象が起こります。
家の外周は、細い10.5cm角の柱ではなく12cm角の太い柱を使い耐力を高める家づくりをして耐久性を高めます。
「ホワイトウッド」をおすすめしない理由
ホワイトウッドの柱での新築を建てることはあまりおすすめしていません。
確かにコスト面は、ヒノキなどに比べて安価で杉と同じくらいの強度がありますが、寒冷で乾燥したシロアリのいない地域で育つと木なので木材腐朽菌やシロアリの防蟻性が極めて低く耐久性に劣るからです。
柱の種類でも説明した通り結露や雨漏りでの被害の進行度合いも他の樹種に比べて早いです。
長く暮らすという目的ならホワイトウッドでなく、ヒノキや杉などの柱で家づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- 樹種が原因の耐震欠陥はない
- 防蟻・耐水・耐朽などの耐久性はヒノキや杉のKD材がおすすめ
- ホワイトウッドの柱はおすすめしない
今回は「丈夫な柱」についてご紹介しました。
柱の樹種によって耐震欠陥につながることはないと言えますが、樹種の耐久力には違いがあり万が一雨漏りなどが原因で柱が腐ったりすれば倒壊の恐れがあります。
丈夫な柱を選ぶということはそういったトラブルを回避する可能性を高め、昨今大きくニュースに取り上げられている地震や台風などの災害に対しても「安心」の材料となるはずです。